「先行する音楽業界をヒントにする!」 |
DVDパッケージ制作支援策②
「先行する音楽業界をヒントにする!」
前回、各地で生まれるDVDパッケージの現状と共に、2017、2018年度に周年を迎える自治体リストを作成したことをお知らせしました。
今回は、映像業界に先行して、パッケージメディアの売り上げ衰退が進んできた音楽業界の動向をお知らせし、
皆様のマーケティングの参考にしていただけたらと思います。
CDやDVDといった音楽ソフトと有料音楽配信を合わせた売り上げは、1998年の6,075億円をピークに、
多少の凸凹はあるものの、基本的には右肩下がりが続いています。
音楽ソフト 有料音楽配信 合 計
1998年 6,075億円 0億円 6,075億円
2005年 4,222億円 343億円 4,565億円
2013年 2,705億円 417億円 3,122億円
2015年 2,544億円 471億円 3,015億円
この間に登場した有料の音楽配信(着メロ・着ウタ→itumes→定額制登場など紆余曲折アリ)の売上は着実に成長しているものの、
パッケージメディアの減少分を補うことはできず、トータルでみた場合に、1998年の6,075億円から、2015年は3,015億円と
半分以下に縮小していることがわかります。
このように右肩下がりが続く音楽パッケージメディアの中で、とっくの昔に絶滅したとさえ思われていたアナログレコードが、
ここ数年、復活の兆しをみせています。
国内随一、生き残ったアナログレコードのプレス工場:東洋化成では、2009年に底を打ったアナログレコード売り上げが2014年には、
その倍以上に回復し、現在ではフル稼働が続いている状態です。
何故、アナログレコードが復活してきたのか?
「まろやかで温かみのある音」は、もちろん魅力の一つでしょうが、お気に入りのジャケットを眺めたり、解説を読んだり、
インターネット配信では味わえない「モノを楽しむ」或いは「モノとのコミュニケーションを楽しむ」という人々が現れてきたのかも知れません。
そして、もう一つ、パッケージ・ソフトや配信ではない、音楽の原点「ライブ」の市場が、大きく拡大してきています。
音楽ソフトの売り上げがピークを迎えた1998年時点での「ライブ」は、年間約710億円(一般社団法人コンサートプロモーターズ協会調べ)と、
音楽ソフトの1割強という規模しかありませんでした。
当時のライブの位置づけは、CD販売のプロモーション的な色合いが強くありましたが、音楽ソフトが長期低落傾向を続ける中、
順調に観客動員数と売り上げを伸ばしていきます。
ライブ入場者数 ライブ売上 音楽ソフト売上対比
1998年 1,430万人 710億円 11.7%
2005年 2,016万人 1,049億円 24.5%
2013年 3,885万人 2,318億円 85.7%
2015年 4,753万人 3,186億円 125.2%
そして遂に、2015年には売上で音楽ソフトを抜き立場が逆転してしまいました。
音楽ソフトの売上推移だけをみると、俗にいう「若者の音楽離れ」なる言葉に納得しそうになりますが、
ライブ・マーケットが拡大していることを合わせて考えれば、決して若者が音楽から離れている訳ではないということがわかります。
インターネットの無料配信を使って「音楽」をダウンロードすることは可能ですが、ライブの一体感、臨場感、独特の空気は、
やはり、その場に行かないと得られない、感じられない、まさに「コミュニケーション」です。
次々に出てくる音楽をその場で消費する「音楽の大量消費時代」が終焉し、もっとコミュニケーションを大切にしたいという人々の思いが
「ライブ市場の拡大」や「アナログ・レコードの復活」といった現象を起こしている。そんな意見も聞きます。
音楽業界の動向は、やはり大切なヒントになりそうです。
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